比喩のジャンプ力について
先日、日本テレビの朝のニュース番組・ZIPでバナナジュース特集を行っていた。
その中でリポーターが話題のバナナジュース店のバナナジュースを飲み干してこう言った。
「梨みたいに甘い!」
いや、果物を果物で例えるなよ!と思った。
近い分野の異なるモノで例えることの違和感に言及した本として
『頭がいい人の文章の書き方』という非常に頭の悪そうなタイトルの文章読本がある。
その中の「奇抜な比喩でインパクトを狙え」とセクションにこうある。
この世には、「海のように青い空」「空のように青い海」という比喩が平気でまかり通っている。
たとえば、清々しい草原に立ったとしよう。そこで、「この草の群れ、まるで緑の海みたい」と表現するのだけはやめてもらいたい。それでは、せっかくの草原が気の毒である。そんなに海が好きなら、海にいけよ、いわれてもやむをえまい。(引用元:頭がいい人の文章の書き方・河出書房新社)
「梨みたい」を聞いたときも「なら梨を食べればいいのではないだろうか!」と思ってしまった。
では、いい比喩とは何だろうか。こうある。
比喩でインパクトを狙うなら、なるべく突飛な組み合わせを考えたほうがいいということだ。
これを私は(勝手に)比喩のジャンプと呼んでいる。
お手本と示されているのが
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油のような夕日の光
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細い月が、爪の跡かと思うほど、かすかに白く浮かんでいる
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運命は、盲目の駱駝のように、突然に人を踏みにじる
の3点で、いい感じにジャンプしている例だと感じる。
では、バナナジュースはどのように例えればよかったのだろうと考えてみると案外難しい。
- 印象派のようなバナナジュース
- 付き合って一ヶ月のカップルのようなバナナジュース
どれもしっくりこないし、ZIPで言ったらポカンとさらてしまうだろう。